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性能は数値化できる心地よさの理屈

そもそも住宅の“性能”とはなんなのか。

世間で言う住宅性能とは「構造耐力・省エネルギー性・遮音性等」を指すと認識しています。
要するに数値化等をして目に見えるものを性能として指しています。
当然かと思いますが、デザインや住み心地を指標しようとしても、個人の主観が入るわけですから、定義はないのですよね。
では目に見えるものがすべてか、感覚的なもので計るべきか、いずれも違う(と判断するのも違うかも)
結局は求める側(住まい手)の要求次第であって、それに合った建築屋さんを指名すればよろしい。
いずれにせよ正解はないのだけれど、僕も初めてひとつの「指標」として性能に注目してみました。

ひとつ屋根の家
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machiya
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※UA値(住宅の断熱性能)
外皮平均熱貫流率は、従来の熱損失係数(Q値)に変わる指標です。
住宅の断熱性能を表し、数値が小さいほど性能が高いことを表しています。
各部位から逃げる熱損失を合計し、外皮面積で割って求めます。
2020年には「次世代省エネルギー基準」が施行されます。
なお、数値の目安として宇都宮の基準が「0.87」とされています。
一番厳しい条件である北海道では0.46です。


弊社の仕様は特段、高断熱に拘っていません。
それは今まで性能に頼るのではなく、設計・デザインにおいて「住み心地」を追求している表れです。
ではなぜこの数値が実現しているのか。
それは...「単純に窓が少ないから」である!!笑
開口部が熱損失において一番影響される部位。
壁や屋根などの外皮は0.3(弊社値)という数字ではあるものの、開口部においては3.5(弊社値)ともっとも高い。
圧倒的に窓の少ない僕の設計は、それだけで有利に働いているのです。
「見た目は良いけど、どうせ・・・」と言われたくない。
事実、住まい手さんから暑い寒いの声を聞いた事がないのです。
一番の理解者は住まい手さんだと思いますが、「気持ちが良い」の感想、それがすべてです。
当然その指向性はこれからも変えられません。
だがしかし、性能を数値として目に見える形で表す事は、これから住まい作りを検討して頂く方の為にも、現状安心して住まい続けて頂くためにも、ひとつの“指標としての性能”は明確にすべきかなと判断した結果です。
恐らく今後、性能を表立って振りかざす事はないでしょう。
僕にとってそれは最重要事項でないから。
あくまで”デザインありきだけではない”ことを知って欲しいかなと思います。

こういうことを公共の場で表現すると対立...俗に言う「炎上」ですか、それは避けたいので言い訳を...苦笑
巷での建築屋さんはご存じの通り多極化しております。
設計事務所系・アーキテクトビルダー系・性能系・ローコスト系・フランチャイズ系・ハウスメーカー・・・挙げ出せばキリがない程に。
各々建築に対する向き合い方もそれぞれであって、それが建築の指向性に表れてくるのだと思います。
建築屋が自己顕示欲のために建築をするのではなく、住まい手のためにあること。
様々な価値観の中から、それを選ぶのが住まい手さん。
どのような建築屋さんであれ、僕にとって比較の対象ではない。
僕は僕(僕の方が優れているという意ではなく)。
そのような判断基準で良いのではないかなと思います。
単純に押しつけがましいのが嫌いなのでしょうね。
だから僕は基本的に営業行為は好みません。

総評として「性能は数値化できる心地よさの理屈」と捉えます。
まずは設計ありき。
大開口によって太陽明るく燦々と...ではなく、きちんと日射量をコントロールした窓のヴォリュームや風の通り道を加味した配置。
熱橋の生じないディテール。
自然の感覚に近い手触り・足触り、木や素材の温もり、デザインによる精神的な心地よさ。
住まい手の一手間を借りて、障子や雨戸による断熱、葦簀戸や軒による日射調整。
断熱性能を感じながら過ごす人などおらず、自然の風や鳥の声、木々による四季の移ろいで初めて気持ちよさを知るのです。
設計によってきちんと、精神的に気持ち穏やかで、体感的に暑さ寒さの不快感を与えない事が大前提にあって、そこへ付加価値として設備や性能を付与する。
精神的な物は計れないけれども、性能を目に見える形で数値化し、心地よさの理屈として裏付ける。
私にとって住まいの設計とは、エネルギーを作るためでも収納のためでもあらず、心休まる場を目指します。
デザインと性能のどちらかが威張っては行けない、バランスによる両立こそが、今求められる「住宅」なのではないでしょうか。

※これらはあくまで、僕個人の主観における建築流儀です。
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住所-栃木県河内郡上三川町上蒲生2351-7 
            citta di garage B1
お問い合わせ
電話 0285-39-6781(不在の場合は携帯へ転送されます。)
mail info@iida-arc.net
by lives-web | 2016-09-26 17:39 | 建築流儀 | Comments(0)

親子屋根の家

来年1発目の仕事です。
タイトルは「親子屋根の家」と名付けました。
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この感じが親子屋根。
左の平屋が和菓子屋さんの店舗と工房、左が住居となります。
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店舗の開放感と住居の開放感、双方の成立を目指します。
店舗併用住宅では、プライバシーと店構えの両立が胆になると考えます。
奥行きで区分けするか、物理的に区分けするか、土地の諸条件と合わせて検討する必要があるでしょう。
もちろん、“兼ねる”事でコストバランスを加味する事も忘れずに...。



1F
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2F
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住居部分は5人家族でなんと21坪。
1人当たりの床面積換算で4.2坪となり、自身最小住宅です。

店舗のプロモーションもプロデュースすることとなり、類を見ない、けど懐かしい和菓子屋さんを目指します。
肩肘張らない、さりげなくオシャンティな店構えと言ったところでしょうか。
ここは栃木県ですから、都内の作法では通用しないでしょう。
マダム受けは狙えません(笑)
普通で良いのです、普通で。



「斜め45°の家」は鋭意工事中。
床施工は終わり、開口部を造作中です。
11月の中頃にはお披露目できる事でしょう。

次次回作である「giftbox」の実施設計は終わり、着工を待つのみ。
この長雨で基礎の着工が遅れております。

お次は・・・基本設計はおおよそ固まり、プレゼン準備中。
お気に召して頂けると良いのですが。

プレゼンを控えているのは後4件。
各々、現在ヒアリング中で、じっくり時間を掛けて設計依頼趣旨を互いに精査して行ければと思います。
熟々痛感する事ではあるのですが、やはり僕の設計は人となり、つまりは住まい手さんの「人柄」を理解しないと線が描けません。
僕の作品であって作品にあらず、そういうところを大切にしております。

なお、おかげさまで来年は残2棟(着工ベース)とさせて頂きます。
生意気言って申し訳ありませんが、精神面(笑)とクオリティ維持のため制限させて頂きました。
1棟の規模とスタッフの成長にもよりますが、年間着工棟数は7~8棟が限度かなと思われます。
ちなみに問合せはいくらでもお受けいたします...笑





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by lives-web | 2016-09-22 20:57 | 親子屋根の家 | Comments(0)

空間と時間を写真に納める

まずひとつ、「空間と時間を写真に納める」は非常に難儀で不可能だ。
ましてやアマチュアカメラマンである僕なんぞに...。
それでも設計者としての意図を写真に納めるのは、僕以外にはなかなか出来ないであろう。
何せこの空間の、最大の理解者であるからだ(笑)

建築も写真も文章も、表現として一貫していなくてはいけないと思う。
僕はよく「君がこの建築を設計しているようには見えない!!」と言われる。
人物の見た目で判断してはいけないという話(笑)

閑話休題

かっこいい写真では意味がない。
きちんと空間として伝わらなければ「写真」として意味がない。
両方出来るようになってから言えと言われそうだけれど...苦笑
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作品名である「machiya」の由来となった西面ファサード。
低く低く伸びやかに...
両サイドの住宅と見比べると明らか。



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店舗の入り口も兼ねているため、アプローチは入念に計画。
アオダモが屋根から突き出ているのが特徴的で、その根元には苔溜まり。
鎖雨樋を使用し、足元には手水鉢(中には金魚)



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プライベートゾーンとなる東面
下草のイワダレソウの成長が待ち遠しい。



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インナーバルコニーを見上げたところ。
屋外からはほとんど内部は伺えない。



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診療所内部
身体のケアも、まずは心から。
精神的にも落ち着ける空間を心掛けた。



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ご主人の書斎
天井高は更に下げて2.000mm。



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1階と2階を意識的に切り替える装置として機能している階段。
折れ具合が特徴で、一瞬目に入る物すべてが真っ白になる時があるのだが・・・



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上がるとこんな感じ。
自身では久々な化粧垂木の天井。
リビングはなんと畳。
やんちゃ坊主3人衆(4人衆?笑)に対しての配慮。



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キッチンからの眺めがいかに気持ちが良いか。
その善し悪しでおかずの品数が決まる!!?
キッチンはその住まいの司令塔として、気持ちの良い場所でなくてはならない。



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最近おなじみの小畳。
今作は天井をRにし、胎内に包まれるように。




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障子を閉めると更に和を感じる。
ただしこれは“和”ではなく“日本の家”である。



今作の写真は明るめと意図的に暗めのものと2バージョン。
これもまた表現の難しさだ。
バッと明るく開放的・・・は意図していない。
必要最小限で十分な開口を心掛けているため、実物以上に明るい室内もまた妙。
適度に暗く、ちゃんと明るく。





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by lives-web | 2016-09-13 17:45 | machiya | Comments(0)

新たなチャレンジ、確かな手応え

先週末、machiyaにて「暮らしの見学会」を開催させて頂きました。
お越しくださった方々、誠にありがとうございました!!
様々なご意見をくださったり、「建築知識ビルダーズ買ったよ!!」との声を頂いたり、わざわざ東京からお越しくださったり...
OB様が遊びに来てくださったり、これから設計中の方も、ご新規様も、単にファンだという方も(笑)、本当にたくさんの方がお越しくださりました。

諸条件による新たな設計のチャレンジが続いた作品です。
チャレンジによってどこも破綻する事なく、確実に“COMODOの空間”であると、来場者様の反響により確信しております。
様々な在り方において、今後の糧になる事は間違いないでしょう。
だがしかし、この評価に甘んじる事なく、日々精進は続きます!!

来る7日には、主にプロ向けではございますが、引き続き見学会をおこなっております。
もちろん一般の方でも、お時間ございましたら是非お越しくださいませ。

さくっと竣工写真の試し撮りをしましたので、一部を公開します。
本腰撮影は今週いっぱい、天候の具合を見ながら臨みたいと思います。
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暮らしの見学会のお知らせです。

「machiya」と題された今作のコンセプトは、まさしく“町屋”となります。
前面道路の大きな通りからは水平ラインを強調し低くどっしりと構え、手前には店舗(整体治療院)を配し、ゾーニング(部屋の区割)の明確化から、その奥には家族の間としての居住空間を備えた店舗併用住宅となります。
診療所の患者さんと家族のプライベートを明確化するためにリビングは2階に配しました。化粧表しとした大屋根に内包されながら、家族の司令塔としての位置づけであるアイランドキッチンを中心に、気兼ねなくゴロゴロ出来るようリビングでありながら床は畳仕上げ。更には外を内に緩やかに取り込む装置としてインナーバルコニーも備えます。
 150坪を超える広大な敷地に対する作庭はいつもの「家+庭=家庭」をコンセプト。大きな大きなヤマボウシを誂え、まるで「キャンプサイト」のようなお庭に仕上げました。そこには弊社の建築コンセプトに則った小屋である「COMODO hutch」が併設され、あたかもひとつの村であるかのよう、敷地内だけでコミュニティを形成しています。玄関前の屋根から突き出た樹形の美しいアオダモや、近景と遠景を意識して配された植栽は一見の価値ありです。



【今回のイベントのポイント】
 - 化粧表しの大屋根に内包されながら畳でゴロゴロ出来るリビング
 - まるでひとつの村であるような一分の隙も与えない豊かな作庭
 - 外を内に緩やかに取り込む装置としてのインナーバルコニー

ブログ記事


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「machiya」
暮らしの見学会
日時 9/7(水)      12:00~17:00
場所 栃木県矢板市

※special thanks
 荒川家具(展示家具提供)

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by lives-web | 2016-09-05 20:29 | machiya | Comments(0)