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高さのお話.2

前回に引き続き、今回も高さのお話。


なぜこのように難しい?記事を挙げるのか。
僕がどれだけ努力して設計をしているのかを知って頂きたい・・・のではなく(笑)
空間作りにおいて、「いかに設計が大切か」を知って頂きたいため。



壁と天井があれば“空間”は構成される。
しかし、人間が利用する空間には開口部や高さ、付帯設備など様々な因果関係が発生する。
単に配置すればそれなりに“住まう空間”になる。
しかし僕らはひねくれ者(笑)

建築家各々、独自の空間作りを提唱し、よりよい環境を生み出そうと躍起だ。
プレハブやセオリーに則っての住宅は住まうことは出来るが、それ以上でもそれ以下でもない。
僕らは同じ“住まう空間”でも、それ以上を目指せていると思っているし、それ以下の空間であろうともよしとさせる力を持っている。

現実にはこれらに理解を示される方もいらっしゃれば、示さない方もいらっしゃる。
当然のことながら、完成も違うし価値観も相違するからだ。
僕としては「押しつけのデザイン」はしたくないが、存在自体は知って頂きたいと思っている。
その上で、このような住まいづくりもあるのだなと、思って頂いた時点で判断を煽りたいのだ。

空間設計は単純ではないと言うこと。
間取りを配置するのは、“設計”とは呼べないのだ。
ましてや昨今の住まいづくりは○○風と呼ばれることが多い。
やれヨーロピアン風だのアーリーアメリカン風だのカフェ風だのと。
ここは日本(海外とは気候が違う)だし、カフェは家ではない!
スタバに住めますか?
海外とは生活様式がまるで違うのです。
とはいえ、すべてを否定することはありません...バランスさえ整っていれば。。。
模範になる建築はたくさんありますからね。



意外と知られていないかも知れませんが、住宅は大規模建築よりも難しい。
とある大物建築家の言葉になるが、「住宅が出来れば建築設計はなんでも出来る」と。
それだけ緻密な計算がこの小さい空間には凝縮されているのだ!



閑話休題。



今回のお題となる玄関と廊下の窓。
平面的には下記のようになる。
高さのお話.2_d0122640_17151924.jpg

玄関を開けると、突き当たりには坪庭を愛でるための窓を配置した。
採光はもちろんだが、視界の抜けやその住まいの風格を表すために配した坪庭。
プラス書斎からも眺められるように。

その坪庭を眺めるための最適な窓は...?
半日悩んだ(笑
高さのお話.2_d0122640_17153570.jpg

まずは視線の抜け方から。

1.玄関からなんとなく眺める
2.廊下からなんとなく眺める
3.近接からあえて眺める

この三つの視点。
それぞれにおいて最適な高さを模索する。
だがしかし、ここにはさらに他の関係性が発生している。

4.書斎からの眺め
5.廊下の天井高におけるプロポーション
6.窓のヴォリュームにおける廊下のプロポーション
7.外部からの視線の侵入
8.廊下の窓と書斎の窓の視線交錯

この八つの項目はどれも外せない。

視線はどのように、どのようなときに、変化するのかを検討した。
H-1500,1300,1100,900,700(すべて既成品寸法)の5パターン。

間取り的にワイド寸法は固定。
上下の位置は「坪庭を愛でる」目的から、こちらも固定(フロアに直)。
高さのお話.2_d0122640_17154363.jpg

こちらは廊下の展開図。
このようなプロポーションとなる。

さて、どれに決断したかは出来上がってからのお楽しみ♪



どうですか?
面倒くさいでしょ?
でも建築家との住まいづくりってみんなこうなのですよ。(たぶん)
ですが、なんでもかんでも住まい手さんにお伺いを立てることは決してありません。
実際僕はほとんど事後報告w笑
正直住まい手さんはそこまで把握出来ませんし、それを把握出来る能力があったら頼みませんでしょ?
僕らの空間作りにおいて“何か”を気に入って頂いてるわけですから、その期待を裏切らないためにもある程度お任せ頂きたい。
とはいえすべてを「おまかせ」されるのは性に合いませんが...苦笑

住まい手さんにして頂くことは「自分をさらけ出すこと」、そして僕らの提案に「判断」をしていただくこと。
極論をいえばこの二つで良い。
もちろん住まい手さんによって要望は様々ですから、どんな些細なことでもぶつけて欲しいし、そうでないと困る。
その要望に対して後は僕らが何とかする!


どこかの住まいづくりのように、カタログを渡されてどれにしましょうか?という悩みは必要ない。
むしろ膨大なサンプルに埋もれるだけで、そちらの方がよほど面倒な気すらする(笑



ま、こんな一見「頑固一徹のマジメ建築屋」に思えるかも知れませんが、決してそんなことはなく(笑
あくまで設計においてのお話。
僕は普段からこんなんではありませんw
やるときはやる...的な?
過去ログをご覧いただければ判ると思います。
楽しく建築と向き合いましょ♪のスタンスです!



□イベントのご案内

BonMarche
     日時 - 2013年10月27日(日) 10:30~17:00
     場所 - 道の駅うつのみや ろまんちっく村
高さのお話.2_d0122640_18145341.jpg

雑貨やアクセサリーの販売が主ですが、住宅作家としてひっそりとブースを構えてます(笑
お時間ございましたら♪



(株)CoMoDo建築工房のHP
住空間設計LIVESのHP - 

住所-栃木県河内郡上三川町上蒲生2351-7 
                  citta di garage B1
電話-0285-39-6781

お問い合わせ → info@comodo-arc.jp
by lives-web | 2013-10-10 18:57 | 建築流儀
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